オーストラリア研修その3

目的
①これまでの担当窓口者コーリッシュ社事務局長ダックさんが定年退職となり、新しい担当者となった理事マシューさんにお会いしたかった。

②春の摘花作業をどのように行っているのか見学したかった。

③日本の農業用機械カタログ・栽培の本等とオーストラリアの機械栽培を比較してみたかった。

④メルボルン直行便が出来て、近さ快適を体験したかった。

⑤良くない事があったので気分を変えたかった。

新しい窓口担当者マシューさん、おじいさんの代から農業を始めコーリッシュ社3代目40歳です。

オーストラリアは今は春です(日本の5月下旬位)、桃の摘実作業中でとても忙しいです。

今年の冬は雨が降らなかった為、とても乾燥しています。年間降水量400mm(山梨県内1600mm)明け方10℃~昼32℃位湿度20%、スプリンクラーが無い所では草も生えません。

摘実作業は1回まわるのみです、霜の影響を考慮し今年は少し大目に実を付けています。

8年生の木で300kg収穫します(日本の8年生より小さい)約18年生で植替えです。

8年生位の桃木から、シェイカーマシンを使い木を揺すり収穫します。(2000万円/台)

収穫も1回で行います、上側先端部の熟度を遅らす方法としてザイラム農薬を散布します。

コーリッシュ社は、桃の不良率を下げる為に生食桃栽培から加工用桃栽培へ切り替え中です。

梨は加工用が殆どです。加工用は隣町シェパートンまで80km自社トラックで運びます。おじいさんの時からSPC会社へ運び100年近くの歴史が有ります。

苗木は、苗店から購入します各地域に偏りがないようにパテントを取られて売られています。

オーストラリアでは、スーパーマーケットの力が強く価格・量・品種を決められてしまいます。

コーリッシュ社では桃200ha・リンゴ200ha・梨100ha・レモン80ha・麦10haに加え今年からプチトマトを10ha程灌水設備を設置し植付けを始めるところです。

果物の輸出はしないのですかと聞くと、オーストラリア国内で果物が十分に消費されているので大量に外国に輸出するつもりは無いとの事。輸入された側の農家が衰退してしまうとの考えです。

過去には、オーストラリアも沢山の自動車メーカー工場が有ったが、全て撤退しオーストラリア唯一のホールデン自動車メーカーも昨年無くなりました。オーストラリアでは自動車産業の復活は二度と無いとの事。資本主義の発展で高い労働賃金と高いA$が原因です。

農業も資本主義の原理で利益ばかり追い求めていると痛い目に合う事を教えて頂きました。

まとめ

今回、日本が良い国と改めて知った。日本は沢山の水が有り沢山の品種の木が有り草が生えている。

オーストラリア農業は毎年バクチ見たいなものだ、都会のサラリーマンのほうがましとマシューさんが言ってました。

一回の水やりで50万~80万必要、畜産で羊一匹に1haの土地が必要で、この乾燥で草のロールを8千円/個を購入してます、お金が水のように流れて行きます。

私たちの小さな農業で対応力が有る農業経営が良いのかもしれないと大規模農園を見て思った。

オーストラリア桃栽培で何か良い物、良い技術がないか今後もマシューさんと連絡を取り合いながら進めて行きたい。

取締役ジームスさんがチャンスが有れば日本へ行って見たいと言い出してくれた。

初めて会った時の事を考えれば、1haの農業で何が出来るのと不思議に思った時から3年すこしずつ他国の農業がわかってもらって来て頂いている気がするから。